世界的に活躍する写真家、レスリー・キー氏の撮影アシスタントを担当する機会に恵まれました。
仕事の内容は、照明など機材のセッティングとデータの管理、レスリー氏の本番の撮影以外の業務を行います。
VOGUEの撮影では、ハッセルブラッドを使用している光景を見かけますが、この日はキヤノンの5D mark4。
撮影したデータは、テザー撮影でリアルタイムにMacBook Proのディスプレイに表示され、それを目安にレスリー氏は微調節をして追い込んでいきます。
世界的な写真家のそばにいて感じたことは、写真に対しての果てしない情熱と、少年のような好奇心を持ち続けていることでした。
撮影の合間に、ふらっと、どこかへ消えるレスリー氏。
彼の姿を探すと、花の前に座って、じっーと興味深く花を観察しています。
また別の時は、化粧品のポスターを眺めて、隅々まで観察しています。
その目は、まるで少年のよう。
人物にカメラを向ける時、コミュニケーションを大切にとりながら、やはり相手をよく観察しています。
観察することで、その人の個性や魅力的を探します。
この観察する力と心の内側を見る洞察力が、一般の写真家とは、大きく違うのだと思いました。
それは生まれ持った能力もあると思いますが、日々の生活の中で鍛錬されているんだと思います。
大阪市内から、新大阪へ向かうタクシーの車内での出来事。
新御堂筋は、自動車と電車がスレスレで並走します。
それに驚いたレスリー氏。
『何これ!!!電車がギリギリ走ってるよ!!日本でこんなのはじめて!!!』
そう言って、並走する電車の乗客に笑顔で手を振ります。
iPhoneでその様子を動画撮影するレスリー氏。
スレスレに並走するので、人の表情まではっきりとわかります。
笑顔で手を振り続けるレスリー氏を見て、戸惑う乗客もいれば、高校生や子供たちは、ノリノリで手を振り返してきました。
タクシー車内から手を振る人物が、実は世界的な写真家。。。
新大阪から京都まで、新幹線車内での出来事。
駅弁を食べながら、僕は一緒に記念写真を撮ろうと提案してみました。
『今撮るの??どうやって??』
僕はバッグから、THETA Z1を取り出しました。
iPhoneのディスプレイで確認しながら、360°撮影できるこのカメラを見て、レスリー氏はびっくり。
『何これ!? すごい!! 僕に撮られて!!』
このブログに掲載している写真が、その時に撮影したものです。
レスリー氏は、もしかしてTHETAの存在を知っていて、僕を喜ばせるために、わざと知らないふりをしていたのかもしれません。
そんな優しい気遣いができるからこそ、誰からも好かれるんだと思います。
写真の技術を追求すれば、きれいな写真は撮影できます。
レスリー・キーという人物は、技術だけでなく、人の心を掴み、撮影した相手をハッピーにできることが、この方の凄さです。
ポートレート写真の原点は、人の魅力を引き出し、その人をハッピーな気持ちにさせること。
ポートレート写真とは何かを、レスリー・キー氏から学ばせていただきました。
今回の写真は、こちらから見ることができます。
THETA Z1で360°VR写真撮影。
https://theta360.com/