大阪市北区天満、造幣局のすぐ近くにある広告写真事務所、
スタジオツービー様のホームページの撮影をさせていただきました。
今回、このお話をいただいた時に、同業者様を撮影するのは、プレッシャーも大きく、どのように写真をお撮りすればいいのか、思案しました。
そこで提案させていただいたのは、実際にカメラマンとして、お仕事をされている姿をお撮りするというものでした。
僕自身、20年以上、カメラマンをやっていますが、
プロカメラマンは、日々、誰か(何か)にカメラを向けますが、
自分が向けられることはほとんどない、もしくは全くないということです。
僕がカメラマンという仕事を選択して、師匠から最初に言われたことは、
「カメラマンは、黒子に徹せよ」でした。
撮影現場での主役は、カメラマンではなく、撮られる側の被写体です。
カメラマンは、その被写体をいかに輝かせるか、魅力を引き出せるか。
師匠の言葉を思い出し、撮影現場へ向かいました。
スタジオツービーの社長様は、僕よりずっと年上のカメラマンで、写真業界では大先輩になります。
競争の激しい業界において、それだけ長く看板を背負ってカメラマンをされているのは、尊敬の対象です。
撮影は、事務所で打ち合わせをするシーン、
Macに向かって画像処理をするシーン、
スタジオで撮影するシーンの、主に3つのシーンを撮りました。
今回の撮影では、あえてストロボは持ち込まず、明るいレンズでの自然光て撮影することにしました。
EF35mmF1.4のBRレンズがメインです。
キヤノンの単焦点レンズの中で、周囲の背景を生かしながら、人物を撮影できる最適なレンズ。
24mmでは広角すぎて人物が歪み、50mmでは背景が生かせない、ゆえに35mmです。
スタジオツービー様は、カメラマンが4人、レタッチャーが1人、年齢層も若手から中堅、ベテランとバランスがよく、まさに広告写真のプロ集団です。
カメラマンは、撮影のジャンルによって、全く世界が異なり、
広告写真というジャンルは、「写真の技術を追求する」ことにあります。
写真に対するこだわりは、数あるジャンルの中でも、相当なものになります。
そんな僕もかつては、広告写真の現場で修行をしていました。
大阪市天王寺区にあるサンスタジオで、助手をしていたのは二十歳の頃です。
写真を現場で学びながら、いろんなカメラマンとの出会いの中で、
僕にはスタジオでの広告写真より、インタビューや取材撮影など、
現場で撮る写真が向いていると思いました。
そしてスタジオを辞め、雑誌のインタビューなどの撮影を行うようになりました。
そんな経緯もあり、広告写真のカメラマンには、自分が果たせなかった、憧れのような気持ちがあります。
撮影終了後に、公園でコーヒーを飲もうと、造幣局付近の川沿いにやってきました。
バイクを停めた川の向こうには、日本経済新聞社旧社屋がありました。
小学生の頃、社会見学の授業で訪れた場所。
新聞の出来上がる工程を見学し、おみやげにその日の夕刊をいただいたのは、今でも想い出になっています。
その想い出の延長の先に、ご縁があり、日経新聞社様で、インタビュー撮影のお仕事を時々行なっています。
今回の撮影では、いろんなことを感じる、または思い出す、きっかけになりました。
プロカメラマンは、ひとつひとつの経験の積み重ねです。
プロカメラマンという仕事は、
「写真」に対して、情熱を持って全力で取り組むこと。
シンプルだけど、それが答えです。
そしてシンプルだからこそ、難しい。