高層ビルが立ち並ぶ、大阪ビジネスパーク(OBP)
その最寄駅、JR京橋駅から2駅目の放出(はなてん)駅から徒歩すぐの距離に、
データウエスト株式会社という、レトロな二階建ての建物があります。
ここは、伝説のアドベンチャーゲーム、サイキック・ディテクティヴ・シリーズを生み出した、データウエスト株式会社です!
僕が育ったのは鴫野という町。
住宅街の鴫野から、自転車でトンネルを潜ると、近未来的な都市の大阪ビジネスパーク(OBP)にたどり着きます。
子供の頃、ゲームが好きだった僕は、NECや富士通、パナソニックのショールームが遊び場でした。
ビジネス街で、パソコンのゲームで遊ぶ小学生というのは、当時でも珍しいかもしれません。
高校一年生の時に、富士通のFM-TOWNSを手に入れ、サイキック・ディテクティヴ・シリーズと出会いました。
人の心に潜入できる私立探偵、降矢木和哉が、様々な怪事件に挑むという、サスペンスホラーです。
ゲームをプレイしながら、人の真理とはいったい何なんだろうと、思春期の僕にとっては、強烈なゲーム体験でした。
このゲームを制作したデーターウエスト株式会社が、東京ではなく、鴫野から隣町の放出にあると知って驚いたのでした。
そして時は過ぎ、ゲーム業界を目指していた僕は、プロのカメラマンになりました。
取材撮影で、ゲーム制作会社へ行くこともありますが、僕の中で、いつも気になっていたのは、データウエストです。
インターネットで調べると、とあるブログに、この旧社屋の情報があり、その情報が少し古かったので、まだ残っていてほしいと、祈るような気持ちで、バイクを走らせました。
そして、ついに発見!!!
僕の目の前には、ずっと心の中で生きていた、データウエスト株式会社が静かに佇んでいました。
放出は町の開発が進み、駅周辺は様変わりしていました。
ところが、このデータウエスト株式会社は、その周辺の様子とは逆行するように、時が止まったままの状態で存在しています。
道路を挟んだ向かいにはローソンがありますが、出入りするお客さんたちは、まさかここが伝説のゲームソフトウェア会社だと気づかないでしょう。
バイクを止めて、しばらく会社の前で過ごしましたが、ここだけ空気の流れが違います。
自分の心が作り出す幻影かもしれませんが、降矢木和哉の描く心象風景が目の前に広がってきました…
サイキック・ディテクティヴ・シリーズと出会って、約30年が過ぎました。
データウエスト株式会社は、ゲームソフトウェア事業から撤退し、移動体通信システム事業で、タイ、マレーシア、香港などのアジアでブランドを展開しています。
僕の夢は、死ぬまでに、サイキック・ディテクティヴ・シリーズの続編をプレイすること、
そしてデータウエスト株式会社に、何らかの形で、撮影に行くことです。
サイキック・ディテクティヴ・シリーズ、永遠に。。。