洋傘職人の情熱・中永洋傘加工所
傘をバッと開いた時、感動を与えたい
大阪府富田林にある中永洋傘加工所。
洋傘にすべての人生をかける中永静人さん。80歳。
世界中どこにもない、誰も見たことがないような傘を追求し、加工所で日々奮闘されています。
中永洋傘の特徴は、表面と内貼りに空間を作り、パッと開いた時に感動を与えたいというコンセプトです。
可動部に布を張ると閉じる事が困難で、失敗を繰り返し実現。特に中央部の空間は独自の技術です。
洋傘の加工現場
洋傘への絶えない好奇心
僕が撮影で使用する照明反射用のアンブレラを見て、中永さんはパッと目を輝かせました。
写真はその時のものです。
このタイプは見たことがないようで、何度も傘を開いたり閉じたりして念入りにチェックします。
カメラマンの僕にとっては、撮影でいつも使用するものなので、特に珍しくないのですが、傘職人にとっては、傘そのものに特別な想いがあるようです。
傘を眺めている目は、まるで少年のよう。
年を重ねても、これだけ好奇心を持ち続けられるのは素敵です。
洋傘の撮影
後日、事務所にセットを組んで撮影。
中永洋傘は手作りの一点もの。観賞用の芸術作品です。
白手袋を着用して撮影に挑みました。
表面だけでなく、裏面にも美しいデザインが施されているので、それを美しく見せることが撮影のポイントです。
シフォン生地、西陣織り、丹後ちりめん(絹)、傘を持つ部分には蒔絵、金貼りで絵が浮き上がっています。
保管用は高級な桐の木箱で、虫が寄り付きません。
洋傘職人のポートレート
商品の撮影が終わり、中永洋傘加工所を訪ねました。
中永さんのポートレートを近くの石川河川敷で撮影。
手には内張に使用するシフォン生地。
一枚のポートレート写真から、その人の人柄や、人生そのものが表れています。
別れ際、握手を交わし、
『あんたみたいな人に、久しぶりに会ったわ。ありがとう』
そんなお言葉をかけていただきました。
ものづくりに向き合う仕事をしている者同士、心が通う瞬間でした。
人生をかけた仕事に全力で向き合うこと、そしてそれを相手(人)に伝えること。
一生懸命さは、人の心に伝わります。
中永さん、これからお元気で。
想いのこもった美しい洋傘の魅力が世界に届きますように。
中永洋傘加工所
今回は、大阪府富田林にある中永洋傘加工所様でした。